「その通りだ。そのたんこぶは私がつけたものだ。文句あるか?」
口元を大きくゆがませておっさんはこう言い放った。少し自慢げだった。
「文句が無いわけないだろうが!! 何で俺の頭を殴った、この禿親父が!!」
「まぁ、落ち着け。それには、ちゃんとしたわけがあるのだよ」
「だから、何だよ! わけって!?」
おっさんは俺の質問には答えず、慣れた手つきでベッド脇にあったティーカップに紅茶を注いだ。柑橘系の香りが俺の鼻を刺激する。
「飲むか?」
「・・・どこだここ!?」
見たことの無いティーカップ。見たことの無いベッド脇の棚。見たことの無いベッド。
そして、見たことのないおっさん。
「やっときづいたのか?誘拐だよ、一種のね。OKか?少年?」
「OKなわけないだろうが!!」
刹那、俺の頭部に冷たい物体が触れた。・・・ハンマーだった。
どうも、銃より迫力みにかけるがそれを思いっきり振れれたら俺の頭はぐちゃぐちゃだろう。
あれ、何だか、汗が冷たい。
「・・・とりあえず、紅茶でも飲むか?」
「いっとくが、俺の家はお金なんてもってないぞ?」
「そんなものはいらんよ。欲しいのは、君だ。少年」
おっさんは少し目を伏せていった。俺の血潮がサーっと音を立てて引いていく。
「ッ変態っ!?」
「アホかっ! まぁ、私は口下手だからな。詳しい説明は、将軍からしてもらう。将軍がくるまで暫し待たれよ」
静かな朝の一時。紅茶の香りと、鳥のさえずり。
差し込む日の光は優しく、空の色は夢と同じ。
全ては、ここから始まる物語。
―プチプチ大戦争
口元を大きくゆがませておっさんはこう言い放った。少し自慢げだった。
「文句が無いわけないだろうが!! 何で俺の頭を殴った、この禿親父が!!」
「まぁ、落ち着け。それには、ちゃんとしたわけがあるのだよ」
「だから、何だよ! わけって!?」
おっさんは俺の質問には答えず、慣れた手つきでベッド脇にあったティーカップに紅茶を注いだ。柑橘系の香りが俺の鼻を刺激する。
「飲むか?」
「・・・どこだここ!?」
見たことの無いティーカップ。見たことの無いベッド脇の棚。見たことの無いベッド。
そして、見たことのないおっさん。
「やっときづいたのか?誘拐だよ、一種のね。OKか?少年?」
「OKなわけないだろうが!!」
刹那、俺の頭部に冷たい物体が触れた。・・・ハンマーだった。
どうも、銃より迫力みにかけるがそれを思いっきり振れれたら俺の頭はぐちゃぐちゃだろう。
あれ、何だか、汗が冷たい。
「・・・とりあえず、紅茶でも飲むか?」
「いっとくが、俺の家はお金なんてもってないぞ?」
「そんなものはいらんよ。欲しいのは、君だ。少年」
おっさんは少し目を伏せていった。俺の血潮がサーっと音を立てて引いていく。
「ッ変態っ!?」
「アホかっ! まぁ、私は口下手だからな。詳しい説明は、将軍からしてもらう。将軍がくるまで暫し待たれよ」
静かな朝の一時。紅茶の香りと、鳥のさえずり。
差し込む日の光は優しく、空の色は夢と同じ。
全ては、ここから始まる物語。
―プチプチ大戦争
プチプチ大戦争 3
2006年11月28日「寝るな。少年よ。大切な話があるのだ」
俺は、反射光の眩しさに眼を細めつつおっさんを見た。
あの出来事が夢でないとすれば、仮にも自分の命を救ってくれた英雄である。
いや、あのプチプチが破裂して人が死ぬのかどうかは知らないのだが。
……まぁ、目の前の中年が恐怖から開放してくれたのは確かなわけで。
「起きてるよ。とりあえず、おっさん誰 ?
俺の夢の住人一号 ? 三号 ?」
「まだ、夢を見てるとでも思っているのか」
「ああ。だって、なぁ…」
……信じられるわけ無いよな。おっさんのおでこから差し込んだ朝日が本物だなんて。
「信じられん、か。ならば、自分の後頭部を触ってみるが良い」
そういっているおっさんの顔は、どこか憂鬱そうに見えた。
まるで、平日の公園のベンチに座りハトと戯れるスーツ着ていそうな表情だ。
あまりにその表情が悲しげだったので俺はその言葉に従って、右手で後頭部を触ってみた。
とたんに、激痛が走った。
校内頭の形の滑らかさランキング第一位を獲得した俺の後頭部に、凸ができていたのだ。
「おっさん。 ……これは、俗に言う、たんこぶか ?」
「ああ。それが、昨晩お前が体験した出来事の証拠となるだろう」
夢の中では痛みというものを感じないという話はよく聞く。
その話が本当だとすれば、きっと今いるこの世界は現実World。
そして、昨日の出来事もリアルな出来事であったといえるのだろう。
「……このたんこぶ、昨日の“アレ”のせいだよな」
「ああ。お前も見たであろう」
どっしりとその言葉は俺の胸に沈む。
目の前には、ゆっくりと眼を閉じ、まるで知識人のような静寂した雰囲気をまとおうとするおっさんがいた。
まぁ、髪のせいで無理だけど。
「じゃぁ、」
「ああ」
「これは、お前からハンマーで殴られたときのだろ!!」
俺は、叫びながらやっと布団という呪縛から脱出した。
俺は、反射光の眩しさに眼を細めつつおっさんを見た。
あの出来事が夢でないとすれば、仮にも自分の命を救ってくれた英雄である。
いや、あのプチプチが破裂して人が死ぬのかどうかは知らないのだが。
……まぁ、目の前の中年が恐怖から開放してくれたのは確かなわけで。
「起きてるよ。とりあえず、おっさん誰 ?
俺の夢の住人一号 ? 三号 ?」
「まだ、夢を見てるとでも思っているのか」
「ああ。だって、なぁ…」
……信じられるわけ無いよな。おっさんのおでこから差し込んだ朝日が本物だなんて。
「信じられん、か。ならば、自分の後頭部を触ってみるが良い」
そういっているおっさんの顔は、どこか憂鬱そうに見えた。
まるで、平日の公園のベンチに座りハトと戯れるスーツ着ていそうな表情だ。
あまりにその表情が悲しげだったので俺はその言葉に従って、右手で後頭部を触ってみた。
とたんに、激痛が走った。
校内頭の形の滑らかさランキング第一位を獲得した俺の後頭部に、凸ができていたのだ。
「おっさん。 ……これは、俗に言う、たんこぶか ?」
「ああ。それが、昨晩お前が体験した出来事の証拠となるだろう」
夢の中では痛みというものを感じないという話はよく聞く。
その話が本当だとすれば、きっと今いるこの世界は現実World。
そして、昨日の出来事もリアルな出来事であったといえるのだろう。
「……このたんこぶ、昨日の“アレ”のせいだよな」
「ああ。お前も見たであろう」
どっしりとその言葉は俺の胸に沈む。
目の前には、ゆっくりと眼を閉じ、まるで知識人のような静寂した雰囲気をまとおうとするおっさんがいた。
まぁ、髪のせいで無理だけど。
「じゃぁ、」
「ああ」
「これは、お前からハンマーで殴られたときのだろ!!」
俺は、叫びながらやっと布団という呪縛から脱出した。
なぜか無性に味噌汁が飲みたい。
2006年11月28日そんな気分の月華楼であります。
そんじゃ、本日の曲レビュー
『新大阪』 The Gospellers
切ないアカペラ曲。といっても、あんまりアカペラっぽく聞こえないのは重厚なコーラスのおかげでありましょう。
「ひとり」「星屑の街」とアカペラシングルはヒットを飛ばしてきましたゴスペラーズが発売した、三枚目のアカペラシングルです。セールス的には、ひとりなどのような大ヒットとはいかなかったようですが、個人的には前記の2曲を遥かに凌駕するほどすばらしい曲だと思います。
途中入る、「I miss you... I miss you...」等心憎い演出が素敵です。やっぱり切ない曲に村上氏のファルセットは反則的な組み合わせかと。
これは、個人的に思うことなんですがサビの部分のコーラスの盛り上がりが列車の汽笛をあらわしたりしてるのかな、と思ったりいたしましてお気に入りであります。
そんじゃ、本日の曲レビュー
『新大阪』 The Gospellers
切ないアカペラ曲。といっても、あんまりアカペラっぽく聞こえないのは重厚なコーラスのおかげでありましょう。
「ひとり」「星屑の街」とアカペラシングルはヒットを飛ばしてきましたゴスペラーズが発売した、三枚目のアカペラシングルです。セールス的には、ひとりなどのような大ヒットとはいかなかったようですが、個人的には前記の2曲を遥かに凌駕するほどすばらしい曲だと思います。
途中入る、「I miss you... I miss you...」等心憎い演出が素敵です。やっぱり切ない曲に村上氏のファルセットは反則的な組み合わせかと。
これは、個人的に思うことなんですがサビの部分のコーラスの盛り上がりが列車の汽笛をあらわしたりしてるのかな、と思ったりいたしましてお気に入りであります。
プチプチ大戦争
2006年11月27日二、
眼を開く前に、もう一度だけ自分に言い聞かせた。
俺は、恐ろしい夢を見ていたのだ。
プチプチは巨大化するものではないし、おっさんはあまりかっこいいものでもない。あ、あんまかっこよくなかったんだ。
・・・かっこよくもないおっさんの夢を見るなんてきっと俺の思
春期も終わりだな。
俺の思春期の何がいけなかったんだ ?
クラスの女子の半数以上の脳年齢が40歳を超えていたことか ?
それとも、クラスの女子の半数以上の精神年齢が5歳未満だったことか ?
ちなみに、クラスの女子の5分の1は脳年齢40歳以上で精神年齢5歳未満だった。
もちろん、信じていない。
あれか ? 素敵な出会いがなかったことか。
毎朝起こしにきてくれる幼馴染。
いるはずがない。
一緒に学校に通ってくれる幼馴染。
いるはずがない。
街角でぶつかる転校生。
いるはずがない。
街角でぶつかる宇宙人。
いるはずがない。いや、わかんないけど。
宇宙人の存在確立は、多数の女の子から一度に好かれる上にそのひとりひとりに感動的なストーリーが存在する確立よりは高い気はする。
いや、ありえないから。
あれ ? んじゃ、おっさんがプチプチを破壊するなんてことありえないに決まってるじゃないか。
やっと安心した俺は、いつもどおりの部屋の天井を見て、伸びをしてくだらない一日をまた今日も―
「おはよう」
眼を覚ますと、そこには濃い顔があった。
「眉毛、太っ」
思わず呟いた俺は、もう一度眼を閉じた。
決して現実逃避ではない。ない。ない。うん。
ただ、おっさんのおでこに反射した日光が眩しすぎたからだ。
眼を開く前に、もう一度だけ自分に言い聞かせた。
俺は、恐ろしい夢を見ていたのだ。
プチプチは巨大化するものではないし、おっさんはあまりかっこいいものでもない。あ、あんまかっこよくなかったんだ。
・・・かっこよくもないおっさんの夢を見るなんてきっと俺の思
春期も終わりだな。
俺の思春期の何がいけなかったんだ ?
クラスの女子の半数以上の脳年齢が40歳を超えていたことか ?
それとも、クラスの女子の半数以上の精神年齢が5歳未満だったことか ?
ちなみに、クラスの女子の5分の1は脳年齢40歳以上で精神年齢5歳未満だった。
もちろん、信じていない。
あれか ? 素敵な出会いがなかったことか。
毎朝起こしにきてくれる幼馴染。
いるはずがない。
一緒に学校に通ってくれる幼馴染。
いるはずがない。
街角でぶつかる転校生。
いるはずがない。
街角でぶつかる宇宙人。
いるはずがない。いや、わかんないけど。
宇宙人の存在確立は、多数の女の子から一度に好かれる上にそのひとりひとりに感動的なストーリーが存在する確立よりは高い気はする。
いや、ありえないから。
あれ ? んじゃ、おっさんがプチプチを破壊するなんてことありえないに決まってるじゃないか。
やっと安心した俺は、いつもどおりの部屋の天井を見て、伸びをしてくだらない一日をまた今日も―
「おはよう」
眼を覚ますと、そこには濃い顔があった。
「眉毛、太っ」
思わず呟いた俺は、もう一度眼を閉じた。
決して現実逃避ではない。ない。ない。うん。
ただ、おっさんのおでこに反射した日光が眩しすぎたからだ。
あやうく一日坊主だった。
2006年11月27日ども。日記というものを続けることができない月華楼です。まぁ、読む人もおりませんのでまったりと。
さて、曲レビューを
『こういう曲調好き』 The Gospellers
作詞・曲 酒井雄二
星屑の街のカップリング曲なんでそれなりの知名度であろうこの曲。まぁ、酒井氏が14カラットソウルに提供した曲のセルフカバーなんですが完全にゴスペラーズ色に変えちゃってると思いますよ。
まぁ、アカペラ曲で北山氏のベースにバーバーバーとドゥーワップが非常に心地よい曲です。是非、ソウルバーで聴いてみたい曲。まぁ、ソウルバー行ったことないんですがね。最後の辺りの酒井氏の英語がうまいんだかなんだかわかんないんですが、爽やかさ全開であります。
とりあえず、私はこういう曲調好きであります。
あー レビューになってねぇけど、まぁいいか。
さて、曲レビューを
『こういう曲調好き』 The Gospellers
作詞・曲 酒井雄二
星屑の街のカップリング曲なんでそれなりの知名度であろうこの曲。まぁ、酒井氏が14カラットソウルに提供した曲のセルフカバーなんですが完全にゴスペラーズ色に変えちゃってると思いますよ。
まぁ、アカペラ曲で北山氏のベースにバーバーバーとドゥーワップが非常に心地よい曲です。是非、ソウルバーで聴いてみたい曲。まぁ、ソウルバー行ったことないんですがね。最後の辺りの酒井氏の英語がうまいんだかなんだかわかんないんですが、爽やかさ全開であります。
とりあえず、私はこういう曲調好きであります。
あー レビューになってねぇけど、まぁいいか。
私の書く小説はこんなんです。気に入っていただけたら嬉しい限り。
プチプチ大戦争
序.
「8月10日。この日、日本は滅亡します」
テレビのニュース番組でこう語った男は、あまりにも胡散臭いおっさんだった。
ピンクのタンクトップに革ジャンを羽織った不自然な服装。
ジーンズが普通なのが救いであるが、履物は下駄だ。
「原因となるものは皆さんの身近にあるもの、そして、誰もがつぶしたことのあるものです」
真剣な表情と、キラリ輝くおでこ。
前髪が、『年』というあがらう事のできない敵のせいで全滅している。
「・・・驚かずに聞いてください。その原因とは、プチプチです」
・・・プチプチ?
俺と同じように、単語の意味がわからないニュースキャスターの顔が映し出された。
「わかりませんか?
縦横に規則正しく並べなれた粒粒に空気がつまった緩衝材・・・
ヒマつぶしランキングでも上位を占めるあれですよ」
ああ。一個一個指でちまちま潰していくあれね。
音がいいよね。つぶしたときの。
「8月10日。あのひとつひとつの粒粒が、膨張し爆発します」
へぇ。そうなんだー。
あまりにも胡散臭い話である。おそらく、幼稚園児でさえ信じないほどできの悪い作り話。
先ほどまで真剣だった、ニュースキャスター達の顔も呆れ顔へと変わっていた。
「爆発を食い止める方法はただひとつ。爆発する前に、日本中の全プチプチを潰しきることです」
一.
突然目が覚めたのは、悪夢のせいだろうか。
視覚で時計に問いて、返ってきた答えによれば現在の時刻は午前2時。
丑三つ時。嫌なときに目が覚めたものだ。
・・・もう一度寝よう。明日も早い。
そう思ったのだが、やけに眼が冴えて眠りへと旅立つことができない。
いつもより睡眠時間はずっと短いはずであるが。
ニゲロ。ナニカイル。
本能が警鐘を鳴らしている気がする。
先ほどの夢にでてきた、『顔はとっても可愛い女の子なのに、上半身はお相撲さん、下半身はおたまじゃくし』という生物が原因か ?
ついでにその生物が、お相撲さんの腕っ節便りに逆立ちで俺を追いかけてきたときは本気で身の危険を感じた。
ハヤク、ハヤク、ニゲロ。
・・・そんなくだらない夢のせいじゃないかな。
全身から吹き出る冷や汗。
体内の5%以上の水分を出しちゃってるんじゃないかと思うくらいの量である。
そういえば、夢の中ででてきた生物は『あなたの水分このストローで吸わせてよー♪』などといって追いかけてきていたな。
ハヤク、ニゲロ。 ナニカイル。 コロサレル。
本能の警戒レベル最高値。
なんか暗闇が恐いみたいでかっこ悪いと思い、耐えていた俺もとりあえず闇からの脱出を試みることを決定。
電気をつけようと全身の筋肉に指令を伝える。
エラー発生。筋肉が動かないことを発見。
あ、これがうわさの金縛りってやつですか。
初めての体験ですよ。うん。
コロサレル。コロサレル。コロサレル。コロサレル。
どうやら俺の人生はこれで終焉のようだ。
カーテンコールは天国から行うとしようか。
だがせめて、自分を殺す奴がどんなものか見てやる。
動かない筋肉を、心で強制操作。
俺をこれから殺す犯人を視界に捉えた。
そこにいたのは、
否、そこにあったのは、
ひとつひとつの粒粒がバスケットボールほどにふくらんだプチプチだった。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
視界に写るあまりに信じられない光景に思わず叫び声をあがてしまう。
刹那、窓が割れた。破片が腕につきささった。
俺の叫び声の振動数があまりにも多かったからなのか。
「大丈夫か ? 少年 ?」
そうではなかったようだ。
どこかで聞いた声。どこかで見た姿。
窓から不法侵入してきたのは、いつだかテレビのニュースで出ていた胡散臭いおっさんだった。
ニュースに出ていたときと違うのは革ジャンの代わりに白いコートを着ていること。
そして、右手に大きなハンマーをもっていることだった。
「うぉぉぉぉぉりやぁぁぁっっつぁ!」
変な掛け声とともにそいつをプチプチへと振り下ろすおっさん。
ハンマーは一粒のプチプチへと、吸い込まれ速さ×質量のダメージを的確にあたえた。
空気の粒が、パンッという聞きなれた音をたて破裂したのはいうまでもない。
鼓膜が破れてしまうほどの音だったが、おっさんはかまわず次々に巨大プチプチを潰していく。
その姿をかっこいい、と思うのが普通であろう。
自分の命を救ってくれた英雄だと思うのも普通であろう。
だが、おっさんはおっさん過ぎて、あまり思えなかった。自分が少しだけ嫌いになった。
全てのプチプチを潰し終わると、おっさんはハンマーをくるくると回し決めポーズらしきものをとった。
多分、髪の毛の量のせいであろう。あまりかっこよくなかった。
「少年・・・ 見てしまったな」
おっさんは決めポーズのままこう呟いた。
何故か、嫌な予感がした。
おっさんは振り向き、ハンマーを掲げ、俺に振り落とした。
プチプチ大戦争
序.
「8月10日。この日、日本は滅亡します」
テレビのニュース番組でこう語った男は、あまりにも胡散臭いおっさんだった。
ピンクのタンクトップに革ジャンを羽織った不自然な服装。
ジーンズが普通なのが救いであるが、履物は下駄だ。
「原因となるものは皆さんの身近にあるもの、そして、誰もがつぶしたことのあるものです」
真剣な表情と、キラリ輝くおでこ。
前髪が、『年』というあがらう事のできない敵のせいで全滅している。
「・・・驚かずに聞いてください。その原因とは、プチプチです」
・・・プチプチ?
俺と同じように、単語の意味がわからないニュースキャスターの顔が映し出された。
「わかりませんか?
縦横に規則正しく並べなれた粒粒に空気がつまった緩衝材・・・
ヒマつぶしランキングでも上位を占めるあれですよ」
ああ。一個一個指でちまちま潰していくあれね。
音がいいよね。つぶしたときの。
「8月10日。あのひとつひとつの粒粒が、膨張し爆発します」
へぇ。そうなんだー。
あまりにも胡散臭い話である。おそらく、幼稚園児でさえ信じないほどできの悪い作り話。
先ほどまで真剣だった、ニュースキャスター達の顔も呆れ顔へと変わっていた。
「爆発を食い止める方法はただひとつ。爆発する前に、日本中の全プチプチを潰しきることです」
一.
突然目が覚めたのは、悪夢のせいだろうか。
視覚で時計に問いて、返ってきた答えによれば現在の時刻は午前2時。
丑三つ時。嫌なときに目が覚めたものだ。
・・・もう一度寝よう。明日も早い。
そう思ったのだが、やけに眼が冴えて眠りへと旅立つことができない。
いつもより睡眠時間はずっと短いはずであるが。
ニゲロ。ナニカイル。
本能が警鐘を鳴らしている気がする。
先ほどの夢にでてきた、『顔はとっても可愛い女の子なのに、上半身はお相撲さん、下半身はおたまじゃくし』という生物が原因か ?
ついでにその生物が、お相撲さんの腕っ節便りに逆立ちで俺を追いかけてきたときは本気で身の危険を感じた。
ハヤク、ハヤク、ニゲロ。
・・・そんなくだらない夢のせいじゃないかな。
全身から吹き出る冷や汗。
体内の5%以上の水分を出しちゃってるんじゃないかと思うくらいの量である。
そういえば、夢の中ででてきた生物は『あなたの水分このストローで吸わせてよー♪』などといって追いかけてきていたな。
ハヤク、ニゲロ。 ナニカイル。 コロサレル。
本能の警戒レベル最高値。
なんか暗闇が恐いみたいでかっこ悪いと思い、耐えていた俺もとりあえず闇からの脱出を試みることを決定。
電気をつけようと全身の筋肉に指令を伝える。
エラー発生。筋肉が動かないことを発見。
あ、これがうわさの金縛りってやつですか。
初めての体験ですよ。うん。
コロサレル。コロサレル。コロサレル。コロサレル。
どうやら俺の人生はこれで終焉のようだ。
カーテンコールは天国から行うとしようか。
だがせめて、自分を殺す奴がどんなものか見てやる。
動かない筋肉を、心で強制操作。
俺をこれから殺す犯人を視界に捉えた。
そこにいたのは、
否、そこにあったのは、
ひとつひとつの粒粒がバスケットボールほどにふくらんだプチプチだった。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
視界に写るあまりに信じられない光景に思わず叫び声をあがてしまう。
刹那、窓が割れた。破片が腕につきささった。
俺の叫び声の振動数があまりにも多かったからなのか。
「大丈夫か ? 少年 ?」
そうではなかったようだ。
どこかで聞いた声。どこかで見た姿。
窓から不法侵入してきたのは、いつだかテレビのニュースで出ていた胡散臭いおっさんだった。
ニュースに出ていたときと違うのは革ジャンの代わりに白いコートを着ていること。
そして、右手に大きなハンマーをもっていることだった。
「うぉぉぉぉぉりやぁぁぁっっつぁ!」
変な掛け声とともにそいつをプチプチへと振り下ろすおっさん。
ハンマーは一粒のプチプチへと、吸い込まれ速さ×質量のダメージを的確にあたえた。
空気の粒が、パンッという聞きなれた音をたて破裂したのはいうまでもない。
鼓膜が破れてしまうほどの音だったが、おっさんはかまわず次々に巨大プチプチを潰していく。
その姿をかっこいい、と思うのが普通であろう。
自分の命を救ってくれた英雄だと思うのも普通であろう。
だが、おっさんはおっさん過ぎて、あまり思えなかった。自分が少しだけ嫌いになった。
全てのプチプチを潰し終わると、おっさんはハンマーをくるくると回し決めポーズらしきものをとった。
多分、髪の毛の量のせいであろう。あまりかっこよくなかった。
「少年・・・ 見てしまったな」
おっさんは決めポーズのままこう呟いた。
何故か、嫌な予感がした。
おっさんは振り向き、ハンマーを掲げ、俺に振り落とした。
皆様、はじめまして。月華楼(げっかろう)と申します。まぁ、変なHNでありますが月華さんとでも何とでも読んでいただけたら嬉しい限りです。
当ブログでは主にゴスペラーズの曲レビュー等+自作小説中心でいこうと思っております。
とりあえず、曲レビュー第一弾。
New Albumでとりあえず素晴らしすぎたこの曲から
『SAYONARA』 The Gospellers
作詩 安岡優 作曲 村上てつや、宇佐美秀文 編曲 井上鑑
アルバム発売前の着うた先行でサビだけ聞いていたこの曲。サビだけ聞けば、あー 爽やかGood-byeSongかーと思ってたんですよね。なんつーか、昔のゴスペラーズはこんなん多かったなーっていう。まぁ、その先行でとったサビも結構お気に入りになりまして、今アルバムの中で楽しみにしていた曲のひとつでありました。
で、アルバムをゲットいたしまして、Let’s Listen!と思ったりしまして聞いてみたんですがね、
イントロ聞いて、
あれ?曲間違えた? と思わされましたよ。
むしろ、人間違えた? とさえですよ。
何だ、この昭和感MunMunイントロはっっっ!!
さらに、聞こえてきたのはそのリズムのままつっぱしる村上さん&ラジオヴォイス。そして、爽やかハーモニー♪
何じゃこりゃぁ!!
っていいたくなりましたよ。うん。
ソウルフルってか・・・ なんつーか・・・
ゴスペラッツ効果に違いありません。うん。
で、素敵なサビに突入♪ あー 爽やかーとか思ってたら、よく考えると凄い歌詞歌ってました。あー 狂ってますねー この歌詞。
そんなとこが、素敵です。 うん。
とりあえず、ゴスペラーズのうりのハーモニーと形にはまらないゴスペラーズらしさが混じった大満足の一曲であります。
まぁ、多分、大人のSAYONARAですよね。そーゆーことで。
当ブログでは主にゴスペラーズの曲レビュー等+自作小説中心でいこうと思っております。
とりあえず、曲レビュー第一弾。
New Albumでとりあえず素晴らしすぎたこの曲から
『SAYONARA』 The Gospellers
作詩 安岡優 作曲 村上てつや、宇佐美秀文 編曲 井上鑑
アルバム発売前の着うた先行でサビだけ聞いていたこの曲。サビだけ聞けば、あー 爽やかGood-byeSongかーと思ってたんですよね。なんつーか、昔のゴスペラーズはこんなん多かったなーっていう。まぁ、その先行でとったサビも結構お気に入りになりまして、今アルバムの中で楽しみにしていた曲のひとつでありました。
で、アルバムをゲットいたしまして、Let’s Listen!と思ったりしまして聞いてみたんですがね、
イントロ聞いて、
あれ?曲間違えた? と思わされましたよ。
むしろ、人間違えた? とさえですよ。
何だ、この昭和感MunMunイントロはっっっ!!
さらに、聞こえてきたのはそのリズムのままつっぱしる村上さん&ラジオヴォイス。そして、爽やかハーモニー♪
何じゃこりゃぁ!!
っていいたくなりましたよ。うん。
ソウルフルってか・・・ なんつーか・・・
ゴスペラッツ効果に違いありません。うん。
で、素敵なサビに突入♪ あー 爽やかーとか思ってたら、よく考えると凄い歌詞歌ってました。あー 狂ってますねー この歌詞。
そんなとこが、素敵です。 うん。
とりあえず、ゴスペラーズのうりのハーモニーと形にはまらないゴスペラーズらしさが混じった大満足の一曲であります。
まぁ、多分、大人のSAYONARAですよね。そーゆーことで。