プチプチ大戦争 3

2006年11月28日
「寝るな。少年よ。大切な話があるのだ」

俺は、反射光の眩しさに眼を細めつつおっさんを見た。
あの出来事が夢でないとすれば、仮にも自分の命を救ってくれた英雄である。
いや、あのプチプチが破裂して人が死ぬのかどうかは知らないのだが。
……まぁ、目の前の中年が恐怖から開放してくれたのは確かなわけで。

「起きてるよ。とりあえず、おっさん誰 ?
 俺の夢の住人一号 ? 三号 ?」

「まだ、夢を見てるとでも思っているのか」

「ああ。だって、なぁ…」

……信じられるわけ無いよな。おっさんのおでこから差し込んだ朝日が本物だなんて。

「信じられん、か。ならば、自分の後頭部を触ってみるが良い」

そういっているおっさんの顔は、どこか憂鬱そうに見えた。
まるで、平日の公園のベンチに座りハトと戯れるスーツ着ていそうな表情だ。
あまりにその表情が悲しげだったので俺はその言葉に従って、右手で後頭部を触ってみた。

とたんに、激痛が走った。
校内頭の形の滑らかさランキング第一位を獲得した俺の後頭部に、凸ができていたのだ。

「おっさん。 ……これは、俗に言う、たんこぶか ?」

「ああ。それが、昨晩お前が体験した出来事の証拠となるだろう」

夢の中では痛みというものを感じないという話はよく聞く。
その話が本当だとすれば、きっと今いるこの世界は現実World。
そして、昨日の出来事もリアルな出来事であったといえるのだろう。

「……このたんこぶ、昨日の“アレ”のせいだよな」

「ああ。お前も見たであろう」

どっしりとその言葉は俺の胸に沈む。
目の前には、ゆっくりと眼を閉じ、まるで知識人のような静寂した雰囲気をまとおうとするおっさんがいた。
まぁ、髪のせいで無理だけど。

「じゃぁ、」

「ああ」

「これは、お前からハンマーで殴られたときのだろ!!」

俺は、叫びながらやっと布団という呪縛から脱出した。

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